NETFLIXの人事戦略が痛快だった話

 

NETFLIXの最強人事戦略」という本を読みました!

確かに本質的だけど、慣習にとらわれてはなかなか実行できない人事の考え方が目の鱗だったので記録しときます。 

 

僕が心に残ったのは主に2点です。

 

  1. 今後6ヶ月先の高い業績を実現するために人を雇い、会社にもたらす価値を元に報酬を定める

  2. 会社の目指す将来に対し才能と情熱が合っていない場合、どんな優れたメンバーでも他社での良い機会を見つけるよう支援することがお互いにとって素晴らしい結果を生む


NETFLIXと言えば皆さんご存知、全世界で1億2500万人超の会員数を擁する、ストリーミング配信サービスです。

 

そしてこれは知らなかったのですが、実はNETFLIXは1997年にDVD郵送レンタル会社からスタートしています。

 

TSUTAYAでお馴染みの延滞料を中心にそこそこの売上を上げていましたが、その収益を捨てる形で2003年から月額制に移行し、大人気のサービスとなりました。

 

2007年に会員向け動画配信サービスを始め、その後は一気にリソースをそちらに寄せて爆発的な成長を遂げていますよね。

 

時代とともに会社の事業は変化していくものですが、これほど形態を変えながら急成長することは簡単ではありません。

 

これを実現するためには、その時々で会社の目指す将来に対して圧倒的に貢献できるハイスペックな人に絞って採用する必要があります。今後6ヶ月先の高い業績を実現するために人を雇うということです。

 

決して事業規模を倍にしたいから社員を2倍にしようなんて考えてはいけません。例えばストリーミング配信のアルゴリズムを構築するエンジニアは全く労働集約的ではないので、一人の優秀な人が他の何十人分のパフォーマンスを発揮しうるのです。

 

そして社員の報酬は、煩わしく本質的ではない人事考課ではなく、シンプルに会社の業績に貢献したかで定めるべきだとしています。 どんなにやる気が合っても、必ずしも会社の業績貢献には繋がらない。やる気ある人の成長を見込んで採用しても、最終的には本人も周りもできなさにイライラして負の効果しか生まれないこともあるからです。

 

さらに突き詰めると、郵送レンタルをやるのと動画配信サービスをやるのでは、事業に求められる能力が全く違うはず。郵送レンタルを手がけていた頃にとても優秀だった人が、動画配信サービスにおいて必要な人材とは限らなくなります。

 

そして本人としても才能と情熱がありながら、動画配信サービスの会社においてはそれを活かせない。これは互いにとって良くない話です。会社の目指す方向と個人の能力の方向性が一致しない時、他社での良い機会を見つけるよう支援することがお互いにとって素晴らしい結果を生むのです。

 

もう主力事業も変わってるのに若い頃活躍してたという理由でポンコツな部長がその場所にいる意味はないのです。彼は他のサービスで遺憾なく腕をふるえる可能性があるんです。

 

聞くところによるとNETFLIXは本当にビシバシと人を解雇するらしいですが、かなりの退職金を用意して次の転職先をサポートしてあげるらしいです。転職したあとも関係は良好であることが多いとか。

 

そしてこの本の著者であり、NETFLIXの人事の力学をつくったパティ・マッコード自身も、その法に従って退職しています。なんとあっぱれ。

 

数年後にはがらりと環境が変わってしまうこの時代、個人としても自分の力を正しい方向性で 発揮できるところで働くべきだし、会社としても将来のために本当に必要な人材を素晴らしい待遇で雇うべきでしょう。

 

慣習にとらわれてなんとなく受け入れていた人事の考え方、一度見直してみるいい機会です。